鉄軌の主な作業を
ご紹介します。

メンテナンス作業「軌道整備」

この「軌道整備」という作業は、電車を利用するお客様が快適に乗車できるように、レールの凹凸を「ミリ」という単位で直していきます。この作業は、軌道工にとっては基本的な作業となり、以後に紹介する「まくらぎ交換」や「レール交換」作業の後にも必要とあれば施工する、いわば仕上げ作業ともなります。

  • 凹凸のあるレールの高さを調整した後、まくらぎの下へ振動工具(タイタンパー)で砕石を詰めていきます。この整備により電車走行中の浮き沈みが軽減されます。

  • 曲がっているレールを鉄の棒(線路バール)で、まっすぐに…もしくは、綺麗な直線・曲線になるまで人力で動かします。この作業により電車走行中の揺れが軽減されます。

  • レールに10m間隔で糸を張り、高さと曲りを測ります(軌道検測)。
    また、2本のレールの幅と傾きも測ります。最後に測定することで、電車が安全に走行できるかを確認します。

交換作業「レール交換」

どちらも、鉄で作られている電車の車輪とレール。これらは電車が走行するたびにすり減り、摩耗し続けます。また、部分的にレールが傷んでいたり、潰れていたりしていることもあります。この摩耗したレールを新しいレールに交換する作業を「レール交換」といいます。とても、単純な作業ですが、一晩で数百メートルものレールを交換する場合が多く、多くの作業員の連携が重要な作業となります。

  • レールとまくらぎを繋いでいる部品(締結装置)を外し、山越器というレールを吊上げる器具を何台も使用して新旧のレールを入れ替えます。

  • レールの入れ替えが終わり次第、締結装置を建て込み締め付けます。

  • レール交換が終わり次第、レールを磨いて信号電気の回路の確認をします。施工後の軌道検測も行います。

交換作業「まくらぎ交換」

まくらぎは、2本のレールを固定し、なおかつ支える役割と電車の重量を砕石に分散させる役割を担っています。摩耗することは少ないのですが、種類は木材で作られている物(木まくらぎ)からコンクリートで作られている物(PCまくらぎ)まで、形状も数多くあります。このまくらぎはとても重く、PCまくらぎになると、およそ160~200kgもの重量物になります。

  • 事前に砕石を掻き出し、古いPCまくらぎを人力で運び出します。

  • 新しいまくらぎを挿入します。レールや障害物がある場合、上図のように角度を起こしてまくらぎを挿入します。

  • 新しく入れたまくらぎとレールを締結装置で繋ぎ固定します。この後は、砕石を戻し、タイタンパーでまくらぎ下へ砕石を詰め込みます。

交換作業「道床交換」

道床は、まくらぎを支え、まくらぎが受ける電車の重量を路盤へ均等に分散させる役割を担っています。大きく分けると、砕石で作られている(バラスト道床)とコンクリートで作られている(コンクリート道床)に分かれますが、どちらの場合でも道床交換を行います。ここではバラスト道床の交換を紹介していますが、コンクリート道床の場合の交換は、斫り作業が主体となります。

  • 砕石を人力(スコップ)で掻き出します。スコップには縄が結ばれていて、縄を引っ張ることで、重い砕石をより多く掻き出します。

  • 上図のような広範囲に至る場合、路線によっては重機で行います。

  • 新しい砕石を散布します。上図では保守用車(モーターカー)にて運搬、散布をします。

敷設作業「伸縮継目」

  • レールとまくらぎを昼間の準備作業内で組みます。この作業は、主にレールが伸び縮みを行う装置(伸縮継目)や線路の交差点(分岐器)などを組みます。

  • 通常分岐器などの敷設作業は、夜間作業内で組み、敷設しようとすると、電車を止めずに行えないくらいの時間を必要としますので、このように昼間の内に作り、夜間作業では敷設のみの施工とします。

  • 保守用車(モーターカー)で現場へ持込み、特殊な山越器で軌道内で下します。

  • ここでの紹介は山越器を使用していますが、敷設の方法は様々あり、現場の環境などにより施工方法を決定します。

その他の様々な作業

  • ミーティング

    作業前に責任者から作業指示や注意事項を周知します。作業が始まると、わからないことを聞く時間も少ないので、ミーティングでしっかりと理解し準備をします。

  • レールの穿孔

    切断したレールを繋ぐ為にレール端部に穴をあけます。施工ミスにならないように施工前に機械の設置状態も2回以上確認します。

  • レールの切断

    交換する新しいレールを切断します。切断する寸法は、何度も測定され決定されます。

  • 後確認

    後確認は作業の中で最も重要とされている内容です。線路内の材料や機材の仮置き状態やわずかな落し物なども見逃さないよう、念入りに行われます。

大規模工事

現状の線路の位置より大きく移動する線路切替工事です。これまでに紹介してきた作業を一度に行います。電気・信号・土木・軌道など多くの職種、多くの企業が合同で行うため、1日に数百名もの作業員で施工します。切替工事では電車運行を止めて行うことが多く、その場合は現場作業を止めず、完成まで一気に行われます。